東大寺の現存しない東塔の高さについて、専門家の見解が対立していました。
創建時の東塔の高さについては、高さが23丈8寸(約70メートル)であったという文献と33丈8寸(約100メートル)であったという文献の複数の文献が存在しています。
東大寺が、奈良文化財研究所に委託し研究が進められていました。
結論をいうと、約70メートルだったという説が有力になりました。
平安時代の文献で廿三丈(にじゅうさんじょう)と記されていた記述が、写されていく途中で、卅三丈(さんじゅうじょう)に変化していることがわかりました。
写本の際の誤記と見られます。
70メートル説については、相輪部分(最上部から突き出ている部分)が、約26メートルあったという記述があり、バランスからいっておかしいのではないかという意見がありました。
しかし、今回の文献調査から、文献上は70メートル説がかなり有力ということになります。
100メートル説に対しても、建築の専門家からは当時の技術では難しいのではないかということが言われていました。
いずれにしても、現在存在するもので、最高の高さのものは約55メートルの東寺の五重塔ですから、これを大きく上回っていたことになります。
復元図を見ましたが、現存する塔との比較から言えば、確かに相輪部分が少し長いので、見慣れた姿とは少し異なります。
七重塔であったと見られていますが、平氏の焼き討ちにあった後、鎌倉時代に再建されたものも、落雷で焼失しています。
西塔も落雷で焼失していますので、これだけ高いと、やはり雷落ちやすいんですね。