国が自治体に対応を指示できる権限を創設する規定を盛り込んだ地方自治法の改正案が、衆議院の本会議で審議されています。

これは、新型コロナウィルスの影響により、国が地方自治体に具体的な対応を要請することがありましたが法的な根拠がない状態でした。

具体的には災害対策基本法や感染症法といった個別法に基づき対応することになりますが、個別法が想定していない事態となっていたため、法的な根拠を欠いたまま、国が地方自治体に具体的な要請をするという事態になっていました。

このような状況を改善するため、国からの指示の具体的な根拠を盛り込んだ地方自治法の改正案が提出されたのです。

野党の中には、地方分権の流れに逆行していると批判しているところもあるようです。

安易に国からの指示に従わなければならないとすれば、地方や個人の権利といったものが、ないがしろにされかねません。

一方で、私達は、国全体として足並みを揃えなければ感染症の流行という危機に対して、自らや周りの人間を危険にさらしてしまうという状況を経験しています。

新型コロナウィルスの流行のような非常事態の場合に限定して、国の権限を認めるような制度にしなければなりません。

改正案では、個別法が想定していない国民の生命等の保護のために特に必要な場合という非常事態に限って権限を行使できるという規定になっています。

イチかゼロかではなく、段階的な権限の拡張を認めるような制度にすることで、歯止めをかけるというのも1つの方法です。

議院での議論を通じて良い内容に改正されることに期待したいと思います。