1977年に、アメリカ(U.S.A)の航空宇宙局(NASA)がボイジャー1号という無人探査機を打ち上げました。

我々世代には、木星や土星の情報を送ってくれた、懐かしい探査機です。

2012年には、太陽から半径約180億キロメートルの太陽圏を抜けた最初の人工物となりました。

太陽圏は、最近話題になったオーロラの原因になる太陽風が届く範囲です。

外側の境目には、太陽風の圧力と星間物質が平衡状態になる地点が存在します。

ボイジャー1号は、この地点を突破しているのです。

現在、地球から最も遠い所にある人工物ということになります。

そのボイジャー1号が、昨年11月から、正常なデータが送信できなくなっていました。

コンピュータの部品が故障していると見られています。

NASAでは、故障していると見られる部品を使わずにデータを送信できるようにシステムの改修作業を進めていました。

今年の5月中旬になって、4種類ある観測機器のうち2種類から正しいデータが届きました。

この2日前に送った命令に対する応答があったのです。

とても遠いところにいるため、データが届くのに片道22時間半かかります。

NASAは、残る2種類の機器についても復旧も目指しています。

探査機など、簡単に何度も打ち上げられず、戻ってきてすぐに修理できないような物に使うシステムでは、ある部品やシステムが故障しても、それを迂回したり、他のシステムを組み合わせることによって機能回復できるように冗長系を考慮してシステム設計がなされています。

このような冗長系を上手く使うことにより、機能を修復することは、アポロ以来NASAが得意とするところです。

今回も、もうお役御免となりそうなボイジャー1号の機能の一部を回復しました。

ボイジャー1号の航海はまだ続きます。