出版業界には厳しい時代となっています。
街中からも大きな書店が閉店するなどのニュースが流れることがあります。
ネット販売が普及しているため、現物を手に取って、本を買い求めるお客さんが減ってきているのだと思います。
このような状況を改善すべく大手書店も流通改革に乗り出しているようです。
これまで本の流通は、本が他の製品とは異なる特殊性を有することから、再販売価格維持制度や売れ残った本を返品できる制度などによって支えられてきました。
しかし、これらの制度により、売る側の競争や改革が遅れてきたという側面もあります。
このような状況を改善するため、大手書店が仕入れる本を見極め、返品を減らす取り組みを始めています。
似たような問題は他の小売業でも起こりうるため、AIなどの活用により、お客さんの数を予測して仕入れや商品の製造量を調整して、上手くいっている業界もあります。
出版業界もAIの活用により、販売量を予測し返品を減らす方法も考えられます。
ただし、医学書や法律書など、読む人が限られていても、出版や流通の必要性がある本が存在するというのが出版業界の特殊なところです。
競争原理だけでは成り立たないことが分かっているため、社会的な支援も必要だと思います。
特に図書館という施設の存在によって、著者の著作権収入や書店の販売手数料収入などが削がれている部分があるため、この分の補助ないし補填などが、何らかの形で必要なのではないかと思います。
独断と偏見になりますが、この時代に活字にかかわっている人たちは、どこか信用が置ける気がします。
このような人たちの生活が出版業にかかわることで成り立たなくなるというのは、国の文化レベルとしてどうなのかという気がします。
労働対価の賃上げだけでなく、無形の著作権自体の見直しや、著作権料、取扱手数料のアップなども重要な経済要素の1つとして考える必要があるのだと思います。