東京都の非正規公務員として働いていたスクールカウンセラーが、今年1月に雇止め通知を受け、任用されなかったことについて、地位確認や損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に提起しました。
原告ら10人は、5年から26年間にわたって、1年度ごとに任用されていました。
2023年度には、東京都教育委員会が定める任用更新回数の上限に達したため、一般受験者と同じ公募試験を受けていました。
その結果、不合格となったり、補欠にあたる補充任用となり、任用しないという通知を受けていました。
雇止めを受けた元職員の中には、不合格を勤務先の校長に報告したところ、校長は、その元職員に対して高い評価を付けていたと伝えられた人もいるようです。
もし、これが本当なら、現場の必要性や評価とは異なる基準で採否が決められていることになります。
スクールカウンセラーの配置実績や、単に予算などの問題で任用が拒否された可能性もあります。
本人の能力や現場での必要性などの意向とは別に、決まった期間だけ使うことが、既に決まっていた可能性すらあるのです。
公務員系の職の雇止めや、非正規雇用の給与が極端に低いものがあるなど、今回のケースだけでなく社会問題ともいえる状況が出てきています。
この問題は、最低賃金の問題とも共通する点があり、非正規とはいえ公務員にあたる人の、雇用が守られなかったり、時給が低かったりすると、民間企業はそれに倣えをする可能性があるので影響が大きいわけです。
政府は、最低時給を引き上げ、賃上げにつなげるという政策を掲げていますが、地方自治体とはいえ、このようなことが行われていたとすると、賃上げなど程遠いという結果になりそうです。
本人も現場も、望んでいるなら、予算を確保し、雇用を守るべきなのに、全く異なる基準で任用を決めている可能性がある教育組織に、子供の教育が任せられるとは思えません。