刑罰の種類が変更されます。
犯罪となる新しい罪が新設されることはありますが、罪や量刑の変更ではなく、刑罰の種類自体が変わるのは、明治に刑法が制定されて以来初めてです。
懲役と禁固刑がなくなり、「拘禁」に変更されます。
これまで、懲役では作業が義務付けられていましたが、文字どおり「懲らしめる」対象から、立ち直らせる対象へと発想が転換されたのです。
これまでも矯正を重視する考え方はありましたが、今回の改正で法律上も明確になった形です。
懲役での作業(刑務作業)は、一部の禁固刑の受刑者にも認められていました。
新しい拘禁刑では作業は義務付けられておらず、それぞれの受刑者の状況に応じて、作業に従事することになるようです。
ただ、以前の禁固刑でも、約8割前後の受刑者が刑務作業を希望していたようですので、拘禁刑になってからも、希望者は多いのではないかと思います。
犯罪の検挙件数は、減少傾向にありますが、再犯率はかなり高いです。
更に、検挙件数が減少傾向にあるといっても、犯罪事実はあるけれども、警察レベルで捜査が進まず、認知されていないものもあるため、実際の治安はよくはなっていないのだと思います。
刑罰が、懲らしめるという発想から転換されると、ますます、実際には犯罪だが、本人も反省していることだしという理由や、立件するほどのことではないのではという判断につながりやすくなってしまう気がします。
法律上犯罪になっているかどうかと、逮捕、立件に至るかどうかという実務上の取り扱いに乖離が生じてしまうことになりそうです。
ちなみに、刑法では、刑罰不遡及の原則というのがあります。
つまり、刑罰が後から変更になっても、後になって重く改正された刑罰が、遡及的に適用されることがないのが原則となっているのです。
しかし、拘禁刑についていえば、刑が重く変更されているわけではないので、すでに服役しているこれまでの懲役などの受刑者も、そのぞれの受刑者の特性に応じて、24の矯正処遇過程に振り分けられることになります。