開催前から何かと問題が指摘されている大阪・関西万博ですが、開催されてからも、問題が生じています。

まず、待ち時間なしを目指した運営については、開幕当初から行列ができ、入場待ちの列ができてしまいました。

その後、会場にはユスリカが大量発生してしまいます。

更に、ウォータープラザでの水上ショーで、海水から指針値以上のレジオネラ菌が検出されたのです。

いろいろと問題が出てきていますが、これまでは主に段取りの問題でした。

しかし、ユスリカやレジオネラ菌の問題は、開催して初めて出てくる問題ともいえます。

自然のものであり、コントロールしにくいが故に、対策としては駆除や殺菌という方法になりがちです。

普段であれば、それで問題ないのだと思いますが、今回の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。

大阪府は、府が提携しているアース製薬に協力を要請し、アース製薬は殺虫剤を万博協会に提供しています。

アース製薬自体は殺虫剤メーカーですから、製品を提供することに問題はないと思います。

ただ、大量発生した害虫の駆除に、即対策を取り、結果が出やすい手段をとるということも大切だと思いますが、今回の万博のテーマからするとそれだけでよいのかという気もします。

結局、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを掲げてみても、害虫や菌は、駆除、殺菌するだけというのでは、テーマと現実の整合性がとれていないのではないかと思うのです。

今回の万博開催については、招致するメリットがあまりないのではという意見や、開催に反対という意見もありました。

ただ、実際に開催してみると、今の日本人が、大きなイベントを上手く仕切れなくなっていることや、抽象的なテーマと現実の間に整合性を持たせてイベントを運営することが難しくなっているという現実が明らかになってきています。

施設の建設や、何を展示するかということだけでなく、万博の運営や生じる問題点に、想像力を働かせて、技術力を持って対処するということが上手くできなくなっているのだと思います。

それが、わかっただけでも、今回万博を開催した意味は大きいのではないかと思います。