これまで、インドと中国(中華人民共和国)は、国境をめぐって紛争状態にあるため、両国の関係はよくありませんでした。

過去にはインドがパキスタン(パキスタン・イスラム共和国)や中国を意識した核実験を行ったこともあるため、関係修復は難しいのではないかと思われていました。

ところが、ここ最近、インドと中国の関係に修復の兆しが見えているのです。

大きな理由の1つが、アメリカ(U.S.A)のトランプ政権の政策です。

アメリカは、インドに対して関税障壁を撤廃し、アメリカ製品の購入を要求しています。

インドは関税に関しては、アメリカよりも先輩で、海外からの輸入に関税障壁を設けているため、海外企業はインド国内に進出することになり、国内に海外企業を呼び込むことには、ある程度成功して来たといってよいと思います。

そこに来て、トランプ政権は、インドの関税を下げさせて、アメリカでの関税は上げるというのですから、インドが引き気味になるのは無理もありません。

アメリカは、インドに対して武器の購入も要求しています。

アメリカは現在、ロシア(ロシア連邦)によるウクライナへの侵攻に対して、ロシアに経済制裁を行っています。

アメリカは、当然インドに対しても、ロシアへの経済制裁への協力を求めています。

しかし、インドのモディ首相は、ロシアからの原油の輸入を止めようとはしません。

それだけではなく、西側諸国のロシアに対する制裁に対しては、中国と協同で、ロシアと取引続行となっているわけです。

ウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪で、ICC(国際刑事裁判所)から国際指名手配を受けているプーチン大統領ですが、インドを訪問した際は、そのままロシアに帰国しています。

アメリカとしては、これを非難したいところですが、アメリカ自身も最近、ウクライナとの停戦交渉のためとはいえ、プーチン大統領をアメリカに招いて、そのまま帰国させています。

アメリカもインドもICCには加盟していませんので、プーチン大統領の身柄を拘束しなければならない法的義務はないのですが、当然逮捕状が出ていることは知っています。

インドは憲法上は民主主義とともに社会主義も標榜していますので、経済は中国と同じく混合経済ですが、ほぼ資本主義国と変わりません。

結局、インドは、トランプ政権誕生をきっかけに、中国に接近することになったのです。

インドは、世界一人口の多い国ですので、味方につければ、より多くの人間の支持を受けることにもなり、市場としても大きな市場ということができます。

そのため、アメリカだけでなく、日本としても西側諸国と歩調を合わせてほしいところですが、もともとが民主主義と社会主義を両立しようとした国ですので一筋縄ではいきません。

西側と歩調を合わせられるとすれば、国境で中国と揉めているため、台湾問題については、中国を支持することはないのではないかということぐらいです。