ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑さんとがん治療薬オプジーボを製造販売する小野薬品工業の間で特許使用料の配分について争われていた訴訟で和解が成立しました。

大阪地方裁判所に提起されていた訴訟で大阪地裁は和解を勧告し、本庶さんに50億円、本庶さんと小野薬品工業が京都大学に設立する研究基金に230億円を小野薬品工業が支払うことで和解が成立したのです。

面白いのは訴訟で法的に争っている当事者が一緒に何かするということは考えにくいのですが、今回は一緒に研究基金を設立するということです。

本庶さんは以前から基礎研究の重要性を強調していました。

小野薬品工業も研究のためなら本庶さんの要求額に近い額を出しても良いという判断なのだと思います。

基礎研究の中にはすぐにはなんの役に立つかわからないものもありますが、その中から実用性の高いものが生まれることもあります。

今回は本庶さんから訴えられてお金を支払うことになりましたが、将来小野薬品工業にとってもメリットのある研究成果が出てくるかもしれません。

実際には小野薬品工業だけでなく、オプジーボのように人類全体にとっても有益な研究成果が現れてくるかもしれません。

それまで良好な関係にあっても一旦訴訟になると当事者の関係性が崩れ泥試合になることもあるのですが、今回は訴訟後も当事者の関係性は維持されそうです。

これで関係性が壊れていたら、関係性の治療薬が必要になるところでした。