公正取引委員会が医薬品卸大手3社に対し、不当な取引制限の排除措置命令と計4億2千万円の課徴金納付命令を出すことがわかりました。

事案としてはいわゆる談合です。

独立行政法人地域医療機能推進機構が発注した医薬品について業界大手4社が談合していたものです。

このうち公訴時効を迎えていない3社が起訴されています。

業界では談合にかかわっていた4社でシェアの8割を占めます。

関わっていたのはアルフレッサ、東邦薬品、スズケン、メディセオです。

このうちメディセオは公訴時効により起訴はされていません。

検察が指摘した内容によれば、談合は以前から続いており、入札に際して落札業者を予め決めたり、入札価格を決めたりしていました。

医療機関からの値下げ要請にも情報交換し、値引きを抑えていました。

もちろん我々個人が買う医薬品の価格にも影響が出てきます。

悪質なのは以前にも行政処分を受けていて、その直後にも談合を行っていたことです。

談合に付ける薬はないということでしょうか。

今回の起訴や課徴金については公正取引委員会や東京地検特捜部の面目躍如といったところですが、それでも気になることはあります。

談合に関わった卸大手の役員の供述によれば、業界の存続のためというのも1つの理由のようです。

製薬メーカーと医療機関の板挟みになり、一定の利幅を得なければ存続が難しいというのです。

言い訳であり、談合が必要悪などというつもりもありませんが、卸が値下げした場合、そのしわ寄せはいずれは製薬メーカーにも及ぶのではないかと思います。

現在でもジェネリック薬の製造工程や品質などに問題があることが指摘されています。

実際、一部の製薬メーカーで回収さわぎが起きたり、行政処分がなされています。

これが値下げによりますます薬の品質を保つことが難しくなったら、今以上の混乱が起きるのではないかと思うのです。

本当に自由競争だけで良いのか、自由競争であれば薬の適正な製造と流通が可能であることを誰が把握しているのか疑問に思うのです。

「神の見えざる手」に導かれるのが、あの世ではないことを祈るばかりです。