前回(2/3)からの続きです。
メタバース上で仮想通貨により物が売買されていることから、損得勘定をサイバー空間に持ち込んでもしょうがないという考えが変わり始めた私ですが、新たなビジネスチャンスに興味が無いわけではありません。
ただ、それよりも、ゲームのような単なる仮想空間の世界だと感じていたサイバー空間が、現実の世界と行き来できる別の空間という意味を持ち始めたのだから、現実の世界では試しにくいことを試せるのではないかと考え始めました。
実際にサイバー空間の中で既にショップなどを立ち上げている人もいます。
それ以外にも会社の意思決定や政治で政策の実施など、現実世界では障害が大きかったり、実施の結果どうなるかわからないようなものについて試せる場になるのではないかと思ったのです。
もともとコンピュータでシミュレーションなどは行われて来たではないかという方もいらっしゃると思いますが、これまでのシミュレーションは現実の損得とは隔離された状態での計算上の出来事でした。
現実世界と繋がりができたサイバー空間では、より現実に近い計算以外の要素も含むシミュレーションができるのではないかと考えたのです。
しかし事はそう簡単ではありませんでした。
先程書いたように単なるシミュレーションであればサイバー空間で失敗しても、現実の世界に影響はありませんが、損得が現実世界と連動してしまっては、サイバー空間での失敗は、現実世界での損失と同じような意味を持つと思うのです。
現実に近いから使う意味があるのに、現実に近いから使いにくいというジレンマを抱えることになります。
また、現実の世界で人の興味を惹かないことは、おそらくサイバー空間でも興味を惹かないでしょう。
そうなるとシミュレーションやマーケティングについてのアプローチの方法の1つにはなるけれども、現実世界よりも思っていた程優位性はないのかもしれないと思うようになりました。
しかし、サイバー空間上では、現実には存在しないものをサイバー空間上で作り出し、それを売買することができるなど、現実ではできないことも可能になります。
やはりサイバー空間にはサイバー空間なりの新しい可能性があるのだと改めて感じています。
現在は先行者利益を得られる時期だと思いますが、それ以外にも今サイバー空間と関わる意味は、新たな可能性を見つけやすくするという副産物が得られるということかもしれません。(完)
サイバー空間再考(3/3)
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