電子化、ITの活用の必要性もありいろいろな分野で法改正があいついでいます。
元々法律が社会に合わなくなれば改正がありえますが、技術の進歩に対応して法律が改正されることが増えています。

今日はその法律の改正手続きについて書いてみたいと思います。

法律の原案作成

まず法律のもとになる原案を作成します。
国会議員は法律を作るのが仕事ですが、議員立法は非常に少ないです。
現在作られる法律の内容は専門的過ぎて国会議員だけでは対応しにくいという事情もあります。
通常、所管する各省庁において原案が作成されます。
この段階で審議会で諮問をしたり、公聴会で意見聴取等が行われたりすることがあり、法律案が現実から乖離した内容にならないように配慮されます。

内閣法制局の審査

法律の原案ができると閣議に付される前に内閣法制局で審査が行われます。
内閣法制局では憲法との整合性から細かな表記について誤りがないかまでチェックがなされます。
日本で違憲判決が少ないのは、違憲審査権の制度上の問題もありますが、法律が成立する前にこのようなチェックが行われているため、違憲と判断される法律が作られること自体が少ないという事情があります。
ちなみに、内閣法制局は各省庁のように独自に採用が行われるのではなく、各省庁から法律に強い人材に声がかかって働くような仕組みになっているようです。
各省庁から法律に強い人間が選ばれ、そういう人達が審査の実務経験を積んで審査をするわけですから、この審査を通った時点で法律としてはかなりの完成度になっているわけです。

閣議決定

内閣法制局による審査が終わると国会に提出するための閣議決定が行われます。
実際の実務は内閣官房が行います。

国会での審議

法律案が国会に提出されると国会での審議が行われます。
上に見たように法律案としてはこの時点で相当な精度で出来上がっていますが、賛成反対はもちろん、政治的な駆け引きにより廃案となることもあります。
可決されれば法律として成立します。

法律の公布

法律が成立すると国民に周知するために公布という手続きを踏みます。
法律はいきなり施行されるのではなく、成立すると附則や他の法令で施行日が決められ施行日から実施されます。

今回の民法改正のように社会に与える影響が大きいと周知するまでに時間がかかるため、改正法の成立から施行までは数年の期間が設けられています。
現在はその途中にあります。