ビジネスで新しいサービスを展開する場合、既存の法律が想定していなかったようなサービス内容のため、杓子定規に法律を適用するとそのビジネスを行うことが難しくなったり、許認可の手続きで必要な書類が揃えられなくなることがあります。
私が以前関わったことのある仕事では、法律の規定によると代金後払いでクレジットカード決済の場合は、購入者に代金の引き落とし時期を通知しなければならないという規定がありました。
通常、中小企業がクレジットカード決済を利用する場合、間に決済代行会社が入ります。
サービス内容にもよりますが、クレジットカード会社が間に入ると複数のカードブランドが取り扱えるようになります。
一つのカードブランドでもクレジットカードの種類はたくさんあります。
クレジットカードの種類によって、何日締めでいつ引き落としかが異なってくるため、引き落とし日を利用者ごとに把握して通知するなどというのは、かなり無理があるにもかかわらず、労力をかけただけのメリットがある規定とは思えませんでした。
これは立法時に物販での消費者保護を想定していたことが原因だと思います。
決済代行会社の存在も想定していたかどうかも微妙です。
物販をメインに代金後払いを想定したのだと思いますが、新しくネットでのビジネスが出てくると民業の足を引っ張りかねません。
消費者の保護は重要なのですが、新たなビジネスを行おうとするときに消費者保護と事業者保護のバランスをとる手段がないと運用に偏りが出てきてしまいます。
立法段階では委員会や公聴会で意見を反映させるという手段もあると思いますが、既存の法律がある場合、法律に強くないと、そんなものかと思ってしまうのではないでしょうか。
他にも許認可手続きで必要な書類の提出を求められても、その取引形態では必要書類が取得できないということもあり得ます。
そんな時はイレギュラーなケースなのだと上申書などで事情を説明していくことになります。
受理機関の管轄などによっても取り扱いが異なることがあるため、一般の方が単発で申請する場合は疑問に思わないかもしれませんが、行政書士のようにいろいろなところに同じ申請をすることがある仕事だとローカルルールということで納得せざるを得ないこともあります。
行政書士の場合お客様のために仕事をするので、個人的にはおかしいのではと思うことがあっても許認可の取得を優先させなければならないことがあるので、事態が改善される機会が遠のいてしまいます。
専門家が関わると手続きなどはそれなりに合理的にできているのではと思う方もいらっしゃると思いますが、このような事情であまり意味があると思えない運用がそのままというケースも出てきます。
手続きの電子化による改正がなされる際に、こうした運用の齟齬についても改正が行われることに期待します。