最近読んだ記事で、麻雀と将棋の両方のプロがいるのだということを知りました。

別々の人間なら当たり前の話なので、同じ人でということです。

鈴木大介さんという方なのですが、麻雀はMリーグで活躍し、将棋は九段で両方のプロなのです。

これだけかと思ったら囲碁もアマ三段の腕前です。

現在、プロの世界では、麻雀も将棋もAIの研究なしで勝負するのは難しくなっているのだそうです。

一方で、合理性だけでは勝てないのが勝負の世界です。

だからこそ、理屈で詰められる部分は誤ると勝ちが遠のいてしまうのです。

将棋や麻雀がAIの研究に馴染むのは、両者が論理的な合理性を含むゲームだからです。

麻雀は一緒に競技する相手に手の内がわからない不完全情報ゲームです。

他方将棋は、一緒に競技する相手に手の内がわかる完全情報ゲームです。

世の中はわからないことだらけなので、不完全情報ゲームの方が現実に近い気がします。

しかし、その道の達人にとっては完全情報ゲームに近づきます。

最近それを感じたのが、ボクシングの井上尚弥選手の試合です。

ボクシングは、殴ってくるということがわかっている点では完全情報ゲームに近いです。

しかし、どう殴ってくるかわからない点で、不完全情報ゲームに近いと思います。

テレビ番組の中で、井上尚弥選手の試合を見た元チャンピオンの長谷川穂積さんが、4秒前から相手の動きを計算して倒しているように見えると発言したところ、井上尚弥選手が、そのとおりであると回答しています。

つまり、井上尚弥選手は完全情報ゲームに近い形でボクシングの試合を進めていることになります。

才能と厳しいトレーニングによって、不完全な情報は完全な情報に近づくということです。

ボクシングもAIで研究する時代が来るのでしょうか。