人口が減っています。
そうすると、これまでのように土地の不足を心配する必要性は低下しています。
ただし、人気の地域では、少々人が減っても手に入れたいという人はたくさんいます。
そのため、まだまだ土地を高度利用する必要性は無くなりません。
無くなりはしませんが、これまでのように高度利用しなければ住む所が無いというところまではいきません。
東京都練馬区の石神井公園駅南口の再開発をめぐって、高層ビルが建設されると景観が損なわれるとして、地域住民などが再開発事業組合の設立許可の取り消しを東京都に求めた裁判の判決が東京地方裁判所でありました。
結論を言うと、原告の請求は棄却されました。
再開発事業組合の設立許可は取り消されませんでしたし、高さ制限の変更にも裁量権の逸脱はなかったという判断になります。
高さ制限については、再開発の景観計画に基づき、地区計画で原則35メートル以下とされていました。
この制限が2020年に緩和されていました。
原告側はこの点についても争っていました。
判決で裁判所は、地区計画の高さ制限は、土地の高度利用の障害になった場合に緩和・撤廃を許容しないほど強い趣旨のものではないと解釈したうえで、公園付近には100メートル規模のマンションが既に2棟あり、景観計画で定めた石神井公園からの眺望の中で突出しないように抑えるという基準に基づいて定めた地区計画の高さ制限の変更には、練馬区の裁量権の逸脱は無いとしました。
一方この裁判とは別に、兵庫県の神戸市では、新神戸駅から神戸駅にかけての市街地292ヘクタールで容積率400パーセント以上の住宅建設を規制しました。
この規制により、神戸市の中心部に、20階建て以上のマンションが事実上建設できないことになります。
場所が変われば土地の利用方法も変わるので、練馬区と神戸市が一緒である必要はありません。
東京でも地盤が強い地域の1つとされる練馬区と、阪神淡路大震災を経験している神戸市の違いと見ることもできます。
しかし、練馬区で高層マンションが必要な理由はそれほど感じられません。
高度利用に対する各自治体の判断が、正しいものであったのかどうかは、それぞれ地域で、これから明らかになって来ることになります。