このブログでは、さんざん、現在の原子力発電に反対する立場で記事を書いてきました、

その理由は、原子力発電所自体の危険性だけにあるわけではありません。

通常運転した場合に出る放射性廃棄物の処理や保管に対する危険性も考えたうえでのことです。

ここで、現在の原子力発電所から出る放射性廃棄物の処理方法について確認しておきたいと思います。

まず、原子炉を運転することから出る放射性廃棄物は、使用済み燃料棒のような固体のものだけではありません。

運転時に、気体も出ます。

気体の放射性廃棄物については、放射能の濃度を減衰させる装置や減衰タンクを経て、フィルターを通され、排気塔から放出されています。

次に、液体の放射性廃棄物についてですが、そのままろ過、脱塩されたり、蒸発濃縮されることにより、蒸留水と濃縮廃液に分離され、濃縮廃液については脱塩され、海へ放出されています。

気体も液体も放射性物質の濃度を測定していることは言うまでもありません。

ここまでで、福島第一原発のような事故がなければ、汚染水が生じず、それを海に放出することはないと思っている方も多いのではないでしょうか。

確かに、事故で生じるような、汚染水とは異なりますが、通常運転でも液体の放射性物質は一定程度発生します。

それは結局、これまでも海に放出しているのです。

現に、原子力発電所施設が存在する周辺の海では、高濃度ではないにしても、通常よりも高いレベルの放射能が検出されています。

最後に、個体の放射性廃棄物は容器に入れられ、地下で保管されます。

このうち使用済み燃料の一部はフランスに送られ、一部は再処理されて、一部は低レベル放射性廃棄物として保管されています。

日本が預けている低レベル放射性廃棄物は、フランスで大量に貯まっています。

その低レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設が、青森県むつ市に建設されていたわけです。

この中間貯蔵施設の建設が、東日本大震災などで遅れていたために、大手電力10社でつくる電気事業連合会が、現在フランスで大量に保管されている低レベル放射性廃棄物を、容積を減らすために、高レベル放射性廃棄物に換えて受け入れる案を検討していると発表しました。

つまり、中間貯蔵施設の建設が遅れてしまったので、フランスで大量に低レベル放射性廃棄物が貯まってしまった。

だから、サイズを小さくするために、高レベル放射性廃棄物に換えて青森に持ち込みたいと言い出したのです。

この案を発表しているのは電気事業連合会ですが、実現不能な案を提案するわけはないので、原発施設を運用する側や、政府、特に、環境省や経済産業省(資源エネルギー庁を含む)には何らかのお伺いが立てられていると思います。

どこが発案したのかも怪しいところです。

青森県には、すでに停止していた国内の原発施設を再稼働するために、核燃料廃棄物の貯蔵率を自治体が要求する水準まで減らす必要が出てきて、これまで貯まっていた放射性廃棄物が、運び込まれ始めています。

これに加えて、今回の発表がなされています。

すでに中間貯蔵施設の運用のめどがついたので、こっちのものという発想なのだと思います。

青森県は寝耳に水のようです。

核燃料廃棄物の最終処分場の建設は、候補地すらまだ決まっていません。