日本学術会議のメンバーに名前があがった候補の内6名について菅首相が任命を拒否したことで揉めています。

日本学術会議というと学者ならみんなメンバーになっていそうな組織のようにも思えるかもしれませんがそうではありません。

日本学術会議が優れた研究、業績がある科学者のうちから会員候補者を選考し、首相に推薦することになっていて、推薦があった者を首相が任命します。

210名がメンバーとなります。

この他に2000名の連携会員がいます。

本来210名いるはずのメンバーによって次の候補者が推薦されるという仕組みになっています。

任期6年で3年毎に半数を改選しています。

ただし2016年には政府が複数の候補者を差し替えるよう求め、これを日本学術会議側が拒否したため欠員が生じているという事態になっていました。

政府の代表である首相が任命権を持つのですから、学問の自由に対する政府の介入を許すことになるのではないかという懸念が以前からありました。

特に今回は共謀罪を規定するための組織犯罪処罰法の改正や安全保障関連法案に反対した学者が中心に拒否されているようなので余計に問題があります。

1983年には当時の中曽根首相が参議院の文教委員会で形式的な任命権しか無い旨の答弁をしています。

これがこれまでの政府の解釈と考えられていたため野党側が内閣法制局に合同ヒアリングを実施しました。

その中で2018年に内閣府から一般的な法解釈についての照会があったため解釈を明確化させたという説明があったようです。

日本学術会議は内閣府の特別機関の一つなので政府が人選にかかわることになっています。

政府から独立の機関としてしまえば問題ないようにも思えますが、お金は国から出ているためノータッチというわけには行きません。

お金は出してもらうが口は出すなというわけにもいかないのです。

関与の仕方が任命権だけになっている分マシな方なのかもしれません。

あとは拒否基準を明確にするか、中曽根元首相が言ったように形式的な任命権しか無いという法解釈を運用の基準にするかになってしまうのだと思います。