法務大臣の諮問機関である法制審議会で新たな民事訴訟の形態が検討されていて、それが問題になっています。

証拠が揃っていて争点の少ない民事訴訟について半年以内に審理を終わらせるという制度です。

刑事だけでなく民事でも証拠が重要になりますので、証拠の収集というのは裁判につきものです。

その証拠が揃っているなら早く手続きを進めてしまえという制度です。

ただ、訴訟手続では証拠だけでなく、その証拠からどのような事実が認定できるかという事実認定も重要になります。

ある証拠から意図した事実が認定されないなら、新たな立証方法を考えるか法律構成を変えるしかありません。

更に証拠についても直ぐに調べられるものしか取り上げないなどの制度が検討されているため、日本弁護士連合会からも裁判を受ける権利を侵害するのではないかという反対意見も出されています。

弁護士の仕事からすれば審理が早く進むということは飲食業で言う回転率が上がるので売上の増加に繋がりそうですが、反対している人が多いようです。

拙速な事実認定により、本来の事実関係とかけ離れた判決が増えるのではないかという懸念があるようです。

早く判決が出されても、当事者が納得できない事実認定が増えれば裁判制度自体に対する信頼も失いかねません。

ただし費用や時間の節約にもなるため、今までよりも利用しやすいということになることも考えられます。

要は制度設計と運用次第というところもあるのです。

より良い制度にするために専門家からも積極的に意見を聞き裁判制度の改善に役立ててほしいと思います。