今、いろいろ騒がれている仮想通貨についてですが、仮想通貨の交換所を営む場合も許認可が必要です。
仮想通貨について問題となりそうな法規制として金融商品取引法、金融商品販売法、資金決済法等があります。

このうち仮想通貨は「有価証券」には該当しないため金融商品取引法は適用されません。
デリバティブ取引については有価証券の規制と見るか、取引態様への規制と見るかにもよりますが、現時点では有価証券ではない以上デリバティブ取引についても適用外と考えるのが素直な解釈だと思います。

次に金融商品販売法についても仮想通貨が「譲渡性預金証書をもって表示される金銭債権」とは解釈しにくいため適用がないと考えられます。
「譲渡性預金証書」を例示と見て、趣旨からすれば仮想通貨も含むと考えられなくはありませんが解釈としては素直でないと思います。
デリバティブ取引についても金融商品取引法の規定が引用される形で規定されているため、結論が連動してきます。

ただし、上記法律については今後改正が行われたり、運用が変更されることによって仮想通貨が規制の対象になる可能性もありますのでご注意ください。

となると残るは資金決済法です。
資金決済法では仮想通貨の交換事業者は登録しなければ営業できないことになています。
資金決済法は元々仮想通貨を規制の対象とはしていませんでしたが、法改正が行われ仮想通貨についても規制するようになりました。
資金決済法が仮想通貨を規制する目的は大きく分けて2つあります。
1 登録制にすることによってマネーロンダリングなどを防止する。
2 利用者の保護
です。

いろいろな基準を設けて利用者保護を図ろうとしているわけですが、あくまで基準をクリアしていれば、わかりやすいリスクが減るというだけで、価値が下がらないわけでもないですし、流出しないという保障もありません。
そのため業界団体による自主的な取り組みも行われています。
仮想通貨の登録業者となるには業界団体である認定資金決済事業者協会への登録も必要なのが現在の取り扱いとなっています。

元々金融商品でも元本保証はないのが通常ですから、仮想通貨の価値が下がることに対する保護はないとしても、問題は流通ルートを規制することによる取引の保護の難しさです。

これには仮想通貨の発行の場と取引の場が分断されていることが関係します。
もちろん株式も「公開会社でない会社」(非公開会社)の株式の場合、証券取引所がかかわらることはないわけですが、その株式について市場での流通性はなくなるので、同一の市場で取り扱われていると考えてよいでしょう。
仮想通貨の場合、元々発行の場と流通の場に同一性があるとは限らず、仮想通貨交換業の登録事業者で取り扱われない仮想通貨は国内での適法な流通ができないだけで、他の規制立法に違反しなければ個人間での流通が可能なため、規制がかけにくいのです。

こういうところまで保護しようとすると、戦闘の激しい戦地にわざわざ自分で出向いた者の安全をどう保護するのかというようなことを議論するのと似てきてしまいます。

かといって仮想通貨の利用が広がると野放しにもできないので、法改正や新しい立法を行うにしてもその作業は困難なものになるでしょう。

国の通貨が電子マネー化されれば状況は変わるかもしれません。