新型コロナウィルス対策のための補正予算を組む必要もあって、野党は臨時国会の召集を要求していました。
野党側は憲法第53条に基づき、総議員の4分の1以上にあたる数を4野党の合意により集め、臨時国会召集の要求書を提出しています。
菅内閣はこれを無視していました。
同じような問題は安倍内閣のときにも起こっています。
桜を見る会や森友・加計学園問題の時に臨時国会の召集が要求されていましたが、安倍政権はこれを無視し続け、98日後に国会を召集し、衆議院を解散したのです。
ちなみに召集の時期については「合理的期間内」とされ、法律で明確に定められているわけではありません。
政府見解としては原則的には30日以内で、社会情勢等によって45日以内というのが1つの目安になっているようです。
この問題については全国で複数の訴訟にもなっていて、議員が原告となって臨時国会の召集が先延ばしされたことについて損害賠償請求というかたちで争われたため、個々の議員が損害賠償を請求できるものではないとして請求は棄却されました。
しかし、裁判所は国会を召集するかどうかの判断は高度の政治性を有するとして憲法判断は避けたものの、「違憲と判断される余地はある」という見解を示しました。
この裁判のうちの1つで元最高裁判所判事の浜田邦夫氏が「明らかに違憲」という意見書を全国3つの高等裁判所に提出していたことがわかりました。
このような報道があったためか、菅内閣は10月4日に臨時国会を召集することを閣議決定しました。
野党側の要求を無視し続けることが難しくなったようです。
そのため衆議院選挙は衆議院の任期が満了する10月21日以降に行われる見通しとなりました。
この状況を全体としてみれば、菅首相のままでは衆議院議員選挙に勝てないと踏んで、首をすげ替えた後に、選挙を行い、当選者数を増やしたいという意図丸出しです。
そのために自民党は総裁選を行い、コロナ対策についての国会での審議が遅れるという事態になっています。
今回は緊急事態下ということもあり、原則の30日は超えてしまいますが、45日以内の召集となりそうなため違憲かどうかは微妙な時期ということになります。
民主主義の根幹にも関わる問題なのですが、なぜかあまり騒がれていません。