2021年に行われた衆議院議員選挙の1票の格差が最大で2.08倍だったのは違憲だとして弁護士グループが訴えを提起した訴訟の判決が大阪高等裁判所でありました。

具体的には鳥取1区と東京13区の格差が最大で2.08倍あるのです。

ざっくり言うと東京13区の人が1票投票するのに対して、鳥取1区の人は2票投票できたようなイメージです。

まず、この手の裁判で確認しておきたいのは、日本の裁判制度が権利や自由・平等を抽象的に争える制度にはなっていないということです。

どういうことかというと、例えば自衛隊が違憲であると思っていても、自分の権利が何も侵害されていないのに抽象的に自衛隊が違憲であることの確認を求める裁判などを起こすことができないということです。

これまで起こされた裁判は、具体的な権利や自由・平等への侵害があって、それを争う裁判の中で憲法上の主張がなされてきたのです。

ですから今回も具体的な権利や自由・平等への侵害があるわけです。

具体的には選挙権への侵害や選挙での投票価値の平等です。

弁護士だから訴えを提起することが特別に認められているわけではなく、選挙ですから国民として弁護士にも、投票は認められているわけです。

その選挙での投票について1票の価値に格差があるのは、自分の選挙権への侵害や投票価値の平等に反するとして、弁護士グループが訴えを提起していたのです。

勿論サラリーマンでも訴えることは可能ですが、時間や費用の問題から、このあたりの裁判は弁護士が意地でやっているといって良いのではないかと思います。

今回、大阪高等裁判所は違憲状態と判断しましたが、選挙を無効とすることは社会的な影響が大きいため、原告らの選挙無効の請求は棄却されています。

ちなみに同じ選挙について高松高等裁判所も違憲状態、東京高等裁判所は合憲という判断をしています。

まだ全国11の裁判所で同様の裁判が行われています。

このような裁判を経て選挙区割りは徐々に格差の少ない状態へと変更されてきています。