不動産について相続が生じた場合、相続税が課されます。

相続税法では相続税の算定は財産取得時の時価によるとされています。

時価の算定には国税庁では実勢価格の8割程度と言われている路線価が用いられています。

路線価による算定額が著しく不適当な場合は独自の算定により再評価できるという通達があります。

この例外的な取り扱いにより追徴課税された相続人が、国税庁の処分や例外的な取り扱いを争った裁判の判決が最高裁判所でありました。

結論は処分は適法で、例外的な取り扱いについても合理的な理由があるとしています。

この例外的な取り扱いに関して最高裁は路線価による算定額では他の納税者との間に看過しがたい不均衡が生じ、租税負担の公平に反することを理由に例外的な取り扱いを認めています。

この判決は、不動産の評価一般について路線価を用いることが不均衡を生じると言っているわけではありません。

この件の相続不動産の場合、路線価を用いると取得時と現在の価値にズレが有りすぎて、他者と比べて課税額について不均衡が生じるという意味です。

このように相続税の算定では不動産自体の価値という客観的な評価基準と他の納税者との公平という相対的な評価基準を用いることが認められています。

通常平等という場合、不平等に取り扱われた側からの権利主張のような形で平等が争われる場合がありますが、今回のように特定の者の税負担が軽くなるような利益を与えずに、国は国民を平等に取り扱うべきだという平等原則としての意味も含んでいます。

税金に関してはこのように国側が国民を平等に取り扱わなくてはならないという平等原則の要請が働くのです。

これは反対に自分が他の納税者と比べて不公平な税負担を強いられている場合に、平等原則違反を理由に法的に争う余地があることを意味します。