農林水産省から食物自給率が発表されました。

カロリーベースで38%ぐらいです。

生産額ベースだと63%ぐらいです。

ウクライナのような有事を想定すると、食物自給率の問題が、経済の問題だけでなく、国防にかかわる問題だということがおわかりいただけると思います。

日本は食物自給率が低いと言われていますが、数字だけ見ると、何かあってもロシアのように、なんとか自分たちで食べていけるような気がしてしまいます。

しかしこの数字だけ見てもかなり厳しいと思いますし、数字自体の読み方にも難しいところがあります。

よく言われることですが、例えば牛や豚、鶏と言った家畜を日本で育てていたとしても、餌となる飼料はほとんど輸入に頼っています。

これで肉などの自給率を高目に捉えても、あまり意味がないのです。

供給路を断たれるような、災害や紛争などの有事を考えると、供給元から何も届かなくなった場合には、食物の生産活動自体がかなり困難になることが予想されます。

経済的には安く生産できる国から輸入するというのは、自然な判断ではあります。

しかし、国内生産者の保護や国防などを理由に、食物自給率を高目に維持しようと思うと、一定の政策的な配慮が必要になります。

経済的な利益を犠牲にしてでも、食物自給率を一定水準以上に維持するという判断が必要なのです。

そして、その犠牲になった経済的利益は、本来農林水産事業の振興費や国防費の一部として捉えても決して大げさではないのです。

円安の今、輸入による経済的利益は低くなり、国防や安全保障に対する意識は高くなりますので、自給率を上げるという動機にはなりますが、物価高により、上がった値段で売れなければ国内の生産者の経営が立ち行かなくなるという、厳しい状況になってきています。