中野の古書店「まんだらけ」がビニール本(わいせつ本)を売っていたとして書類送検されました。

検察は犯罪の嫌疑はあるが、刑事処罰は求めない起訴猶予としていました。

しかし東京都公安委員会は「まんだらけ」を180日間の販売営業停止とする行政処分を下しました。

これに対して店側は、納得していないが、従うとしているようですので、この問題について少し解説したいと思います。

「まんだらけ」はアドルトグッズの販売がメインというよりも、オタクの聖地といわれる中野ブロードウェイにあるマンガやアニメに関する商品も取り扱っているお店です。

「まんだらけ」側としては起訴されていないのに、行政処分が出されることに納得していないようです。

有罪が確定していないではないかということだと思います。

これについては以前、他の記事で書きましたが、不起訴処分には、犯罪の嫌疑がないので不起訴になる場合と嫌疑はあるが起訴猶予になる場合があります。

今回、検察は犯罪の嫌疑はあるが、起訴猶予にしたというものです。

にもかかわらず、公安委員会が行政処分を行ったわけです。

行政処分は強制力がありませんので、刑事罰に問われなくても出されることがあるのが一般的です。

では、なぜお店側が不満を持つかといえば、その原因については、処分の根拠となったいわゆる風営法について知る必要があります。

風俗営業というと性的なものをイメージするかもしれませんが、いわゆる風営法で規制されるのは性的な営業でないものの方が多いくらいです。

その風営法では一部、性的な営業に関しても規制しています。

「まんだらけ」では性的な表現を扱っている本やアダルトグッズなども売られているので、風俗営業の1つに該当することに問題はありません。

風営法では、法令や風営法に基づく処分や条例の規定に違反した場合は、公安委員会が営業停止を命ずることができる場合があることが規定されているのです。

以上をまとめますと、一般的に刑事罰が課されなくても、行政処分がなされることはありうるが、今回の場合は風営法で規定されている、「法令や風営法に基づく処分や条例に違反した場合」に該当し「青少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある」と公安委員会が判断して行政処分がなされたことになります。

ビニ本の流通(あるいは「まんだらけ」の営業)を快く思っておらず、何とか規制したいという警察と、刑事罰を科すほどのことかという検察の認識のズレから、被処分者に理解しがたい行政処分がなされる結果になった事案と言えるのではないかと思います。