スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが入管施設内で亡くなった事件について、名古屋地検が不起訴としていましたが、名古屋第一検察審査会は不起訴不当という議決をしました。
こちらは刑事事件についての判断になります。
これで検察は再捜査をすることになります。
殺人罪や保護責任者遺棄致死罪についても検討されましたが、こちらは不起訴が相当であると判断されました。
今回不起訴不当となったのは業務上過失致死罪についてです。
ウィシュマさんの事件については、入管施設内のカメラで、映像が存在していましたが、国が公開を認めていませんでした。
国家賠償を求めた民事裁判の中で、証拠調べのために、証拠として映像の提出が求められていました。
国は最近になってようやく映像の提出を承諾しています。
これで公開の法廷で当時の映像が公開されることになりそうです。
もともと同じ事実に基づいていても、民事事件と刑事事件は別々の事件として扱われるので、一方の事件での訴訟資料が、他方の事件で当然に用いられるわけではありません。
ただ、今回のように、隠蔽ともとれるような不誠実な対応が取られ続けている状態だと、民事での訴訟資料をもとに世論を巻き込んで刑事事件の取り扱いについても考え直してみなければなりません。
法定での反対尋問を経ない資料に基づいて、一方的な報道などによる批判には危険な側面もありますが、捜査や起訴・不起訴といった刑事司法手続きには、まだ不十分な部分もあるので、常識的な感覚も何らかの方法で取り入れていかなければなりません。