このブログでは、発電に原子力発電所を積極活用することに反対する記事を書いていますが、原子力発電を行うのに必要なのは原子力発電所だけではありません。

使用済みの核燃料廃棄物や核燃料の再処理施設なども必要になります。

そのうちの1つである日本原燃の申請書約6万ページのうち約3100ページに誤りがあることがわかりました。

これには2つの大きな問題があるように思います。

1つは報道でも指摘されているように、はじめにスケジュールありきの運用がなされていたことです。

経営者側が事業運営に必要な日程を伝えれば現場はそれに逆らえず、チェックが不十分でも日程に合うように書類を作成してしまう状況だったわけです。

問題の2つ目は、そのスケジュール自体が現状からかけ離れた感覚の下に作られているのではないかということです。

つまり経営者側は核燃料の再処理事業の運営ができればよいわけで、上手く行くかやきちんと運営できているかにはあまり興味が無いのではないかということです。

経営者側にすれば、それらを確認するための申請書類だから、それをきちんと書類に反映させろということなのだと思います。

しかし、経営者側に興味がないから現場の実情がわからず、チェックできるだけの人間が揃っているかや、チェック出来るだけの時間が確保できているかの判断ができないのだと思います。

現場の現状がわからなければスケジュールなどたてようがないはずなのです。

危険なのは単に書類の誤りや不備ということだけでなく、記載に問題が出るようなチェックしかできていないということです。

書き間違いなら訂正すれば直りますが、元々必要なチェックができていないなら正しく直しようがないわけです。

当然安全性は蔑ろにされます。

柏崎刈羽原発は再稼働を始めようとしていましたが、テロ対策などの不備が見つかり是正措置命令が出て、運転再開が延期されている状態です。

最近も、その是正措置命令を解除するために必要な報告書に不備が見つかり、解除が見送られるという事態が生じていました。

これら書類の不備は、最近書いた敦賀原発2号機の資料の不備とは別の話です。

きちんと運用できると言いながら、実態が伴っていないというのが現状なのです。