大きな民法の改正がなされ、改正法が施行されてから3年以上が経ちます。

そこで今回から飛び飛びになるかもしれませんが、民法の改正箇所についての記事を書きたいと思います。

一般の方が民法を使う機会はあまりないかもしれません。

しかし、資格試験などで勉強されている方もいらっしゃると思います。

新法から勉強されている方はあまり問題ないかもしれませんが、旧民法を知っている方は、改正内容を知らないと誤解のもとになります。

まずは民法総則の意思表示の規定から始めます。

民法第95条錯誤についてです。

錯誤とは意思表示と表意者の意思が一致していない場合をいいます。

その不一致を表意者が認識していない点で民法第93条の心裡留保と区別されます。

旧法では錯誤の効果は「無効」とされていました。

法律上、無効は本来、誰に対しても、はじめから効果が生じていないことになります。

しかし旧法では錯誤の場合、善意(この場合錯誤であることを知らないこと)無(重)過失の第三者に対しては、無効を主張できませんでした。

この場合の無効は、無効の中でも変わりダネである「取消的無効」と呼ばれていました。

他に、錯誤の場合動機に錯誤がある場合も多々あり、錯誤の定義からすればストレートに錯誤に当てはまらないのですが規定が想定している場合とあまり異ならないため、判例で一定の要件のもとに動機の錯誤の主張が認められていました。

動機の錯誤の例としては新幹線が開通するから、ある土地を買うなどと意思表示した場合などが考えられます。

実際は新幹線が通らなかったので、その土地は不要という場合に、動機の錯誤を主張することが考えられます。

買おうと思ったことに違いはないので、本来錯誤にはあてはまらないのです。

以上の点を踏まえ新民法では

95条第1項で効果を「取り消すことができる」とし

95条第2項で動機の錯誤を規定し

95条第3項で善意、無過失の第三者には取り消しを対抗できない

としています。

要するに、これまでの問題点を条文に取り込んだ内容に改正されたことになります。