福岡県で交通事故の刑事裁判で、無罪判決を受けた女性が、免許の取り消しの無効を求めていた裁判の控訴審での勝訴判決が確定しました。

この女性は、2017年に軽トラックを運転中にバイクと衝突し、自動車運転死傷処罰法の過失運転致傷の罪で起訴されていました。

裁判では、バイクが急に割り込んできた可能性があるとして、女性の過失が否定され、無罪判決が言い渡されました。

この判決確定後も福岡県の公安委員会は刑事処分と行政処分は別であるとして、免許取り消しの処分を維持していました。

これに不服の女性は、免許取り消しの無効を求め、福岡地方裁判所に提訴し、控訴審まで行きましたが女性の訴えが認められて、免許取り消しの無効の判決が出ていました。

福岡県側が、この控訴審判決に対して、上告しない方針を決め、判決が確定したため、免許取り消しの無効が確定しました。

裁判では、刑事裁判で無罪でも、民事裁判で負けて損害賠償を請求されるなどということは珍しくありませんが、交通事故で刑事裁判で無罪なら、免許取り消しも無効だと考えるのは無理もありません。

その意味では、この女性が自分の権利を主張し、きちんと自分の運転免許を維持できたということになります。

ここまでだと、上手く裁判で争えたケースのように見えますが、女性は運送会社に勤めていたため、免許取り消しで職を失い、シングルマザーだったため一時的に一家離散状態となっていました。

逮捕事案なら国選弁護人が付きますが、在宅起訴であったため国選弁護人も付きません。

私選弁護人を選任してからの無罪、免許取り消し無効の判決なのです。

近頃、高齢ドライバーの事故が続き、免許返納といえば、高齢者側からの免許の返納というのが相場ですが、今回は福岡県の公安委員会側が、女性に免許を返納することになります。