パレスチナのハマスがイスラエル(イスラエル国)を攻撃しました。

イスラエルが報復の空爆を行っています。

ハマスはもともと社会福祉集団だったものが、パレスチナ人によるイスラエルに対する大規模蜂起を通じて、その実行部隊が現在のように先鋭化していったものです。

途中で政党としての活動も始めたため、政治的な組織とも言えます。

単なるテロ集団のように伝えられるのは、自爆を常套手段として抵抗してきたことに対する海外の見方と言って良いと思います。

同じパレスチナのPLO(パレスチナ解放機構)とあまり違いがわからないかもしれませんが、かなり性質の異なる団体です。

PLOはイスラエルと敵対関係にはありますが、イスラエルとの関係も重視しながらパレスチナ人の政府を樹立していこうという考え方の団体です。

そのため、ハマスはPLOとも仲があまり良くありません。

今回の攻撃が、ハマスの中の過激集団が暴走したものか、組織的なものかも慎重に見極める必要があります。

同じハマスの中のカッサム旅団と政治部局から発信されているメッセージの違いからすると、統一的な意思決定がなされていない可能性もあるのです。

ただし、カッサム旅団の暴走だったとしても、背後関係には注意しなければなりません。

このところ、イランはイスラエル包囲網を築こうとしていたため、イランが背後で糸を引いている可能性もあるのです。

これとは反対に、カッサム旅団の暴走が、イランにとっても渡りに船だったという可能性もあります。

仮にイランが関与していた場合、ロシア(ロシア連邦)、中国(中華人民共和国)、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)といった国々の意向が働いている可能性も出てきます。

かつてロシアは、欧米とともに、中東和平カルテットと呼ばれた中東に安定をもたらそうとするグループの一員でしたが、現在ウクライナと戦争状態にあります。

先に挙げた国々の思惑もあって、ウクライナを支援しているアメリカに対し、中東情勢を利用し、イスラエルを攻撃することで、イスラエルに肩入れするアメリカの余力を削ごうとしている可能性もあるのです。

中国や北朝鮮はイランに武器を供与し、イランはアメリカとは反対にロシアを支援している関係にあります。

このように複雑化している中東情勢ですが、トランプ大統領の時に、中東から軍隊を大部引いてしまったことと、イスラエルに極端に肩入れしてしまったことに加え、その隙に、中国がアラブ諸国と接近したことが事態をさらに悪化させています。