動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)が施行されてから3年ほど経ちます。

5年を目処に見直すように規定されているため、改正に向け検討作業が進んでいます。

問題として指摘されているのは、動物愛護法を根拠に保護活動をする人達からの法の不備についての指摘です。

虐待されている動物を発見しても、飼い主の許可がないと保護できない。

迷子の動物がいても、所有者を探したり獣医師に状態を確認してもらうなどの手続きを踏まなければ保護しにくいといった不備です。

法律上、動物は物と同じ扱いになります。

それを虐待されたり、遺棄されないように、人間側の行為を規制して、人間自体の利益も守られるように作られたのが動物愛護法です。

そのせいもあってか、保護活動をしている人達から聞こえてくる不備もどこかで聞いたような問題であることに気づきます。

空き家問題です。

空き家だと、所有者が誰なのか調べなければなりません。

空き家が災害に巻き込まれそうでも、勝手に手が出せないなど、動物の問題と似た点があります。

結局、飼われている動物は、財物の一種として扱わなければならないため、このようなことになるのだと思います。

改正にあたっては、このような問題をどのような規定で解決していくのかが問題になります。

物であるとしても、人に近い保護を与えられるかという問題です。

所有権は、一部例外はあるものの完全な権利と言われます。

自分の物であれば、壊そうと、それは自由なのです。

ただ、動物が法的に物であるといっても、飼い主が生殺与奪の権利を持っているわけではありません。

人間の人権のようなものを動物にも認めれば、規定もしやすいのですが、法主体ではない動物に、そのようなものを認めることも困難です。

そこで動物を扱う側の行為を規制するという方法になってしまうのです。

このような法的に規制が難しい問題については、殺生や虐待をしないといった宗教的な戒律が意味を持ってきたのですが、そのような機能を失ってしまっている宗教もあるようです。

殺生をしない、物を大切にするといった、法と呼んでいいかわからないような法が、上手く生活をするための知恵だったことがわかります。