法務大臣の諮問機関である法制審議会の部会で共同親権の導入が検討されています。

現在も婚姻中は、両親が共同で親権を行使することになっています。

そのため、現在検討されているのは、離婚後も共同親権を行使するという制度です。

これに対し、弁護士423名が異論を唱えています。

離婚は親の都合なので、子にとっては離婚しても親のままです。

共同親権は良いことにように感じますが、弁護士の先生方が何を懸念しているのかを知る必要があります。

親同士が揉めて、離婚するケースであれば共同親権でもそれほど弊害はありません。

問題があるのは、子や配偶者に対するDVなどを理由に離婚するケースです。

この場合、今までであれば、DVの加害者側に親権を持たせなければ、離婚することで接点が無くなっていたのです。

しかし、共同親権をそのまま導入してしまうと、DVなどを理由に離婚した後も、子との接点を持ち続けることになったり、子の親権行使をきっかけに元配偶者と接点を持つことになりかねないのです。

ですから、現在異論を唱えている弁護士の先生は、離婚事件などを扱う先生方が中心で、DV被害の実情を見てきた人達です。

そのため、共同親権の導入には慎重な議論を求めているのです。

綱要案にも、急迫の事情があれば、単独親権を認めるという案が入れられていますが、親の権利として定められているものを、子側の急迫性という事情という要素を要求することで例外を認めても、どこまで急迫性が認められるのかは運用次第になってしまいます。

離婚時に、親権をもたせるべきかどうかを決める基準を、具体的に設けるべきなのだと思います。

現状を知る現場の声には耳を傾けたうえで、慎重に議論を進める必要がありそうです。