オラウータンが、自らの傷を薬草を使って治療したという事例が報告されました。

インドネシアのスマトラ島に棲むオラウータンで、別の個体との争いで顔に傷を負っていました。

ドイツ(ドイツ連邦共和国)のマックスプランク動物行動研究所などの研究チームが、このオラウータンを観察し、自分で傷を治すことを確認したのです。

このオラウータンは、傷の治療に効果のある薬草を口に含んでよく噛み、それを傷口に塗って、傷を治療したのです。

病気に限らず、自らに役立ちそうなものを食べるという動物はいます。

身近な例では、毛玉を吐き出す(病気ではありません)のに猫が猫草を食べたりします。

チンパンジーやゴリラ、ボノボなどでも寄生虫を減らすために、薬草を食べることがあることが確認されています。

しかし、傷を治すのに薬効成分が出るように、口の中で噛み、それを傷口に塗るというのは、薬を作って治療していることになります。

この行為のすごいところは、傷を治すことだけではありません。

特定の薬草が傷に効くとして、それを塗って傷が治ったということがわからなければ、このような行動は取りません。

つまり、薬草を塗る→傷が治るという期間があっても、因果関係が特定できるだけの間、記憶があるということになります。

更に興味があるのは、その知識を周りの個体から学習しているのか、この個体が大人になるまでの間に獲得したのかです。

もし、周りの個体から学習したのであれば、知識をコミュニケーションで伝えていることになります。

この個体だけが気付いたにしても学習能力ありすぎです。

森の賢人と呼ばれるオラウータンですが、異名どおりの能力の持ち主のようです。