許認可を取得する場合に添付書類として身分証明書や登記されていないことの証明書を求められることがあるのでその書類の意味について書きます。
なぜこれらの証明書が必要か
許認可事業を始める場合、旧無能力者制度や現在の制限行為能力者に該当すると取引が後で取り消されることがあるため、これらに該当していないことを証明する必要があるのです。
役所からすれば無能力者制度や制限行為能力制度で保護されている人に許認可を取得させるのはまずいわけです。
これらの制度により保護される者に許認可が出ないようにすれば、取引の相手方となるはずの者も保護できるのです。
両制度は似たようなものですが、平成11年の法改正により平成12年から制度変更があったため両方の証明書が必要になります。
身分証明書
ここでの身分証明書は運転免許証などの本人確認書類のことではなく、破産宣告や禁治産宣告などを受けていないことを証明するものについてです。
身分証明書では役所が禁治産者、準禁治産者、破産宣告などの通知を受けていないことを証明します。
以前の無能力者制度では禁治産者、準禁治産者、未成年者が無能力者とされました。
未成年者であることは住民票や戸籍の生年月日でわかるので身分証明書からは除かれています。
「無能力者」という言葉の響きが良くなかったのも制度改正理由の一つです。
新しい制度で被補助人が加わっているので言葉だけが理由ではありませんが。
身分証明書は本籍のある役所で取得できます。
登記されていないことの証明書
「ないこと証明」などとも呼ばれます。
この場合の登記は成年被後見人などの登記のことです。
不動産登記や商業登記のことではありません。
不動産登記や商業登記の証明書はいろいろな法務局で取得できますが、登記されていないことの証明書には制約があります。
まず、どの法務局でもよいわけではなく、各都道府県の本局のみでの取扱となります。
本局は北海道は4箇所、他の都府県は1箇所存在します。
法務局の支局や出張所では取得できません。
ややこしいのは住所地や本籍地とは関係ないということです。
「窓口で申請」するなら東京に住んでいる人がさいたま地方法務局の本局で取得することもできますし、さいたま在住の人が千葉地方法務局の本局で取得することもできます。
ただし、「郵送で請求」する場合は全国どこの人でも東京法務局の本局でしか取り扱ってもらえません。
制限行為能力者制度は未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人です。
このうち未成年者は住民票や戸籍の生年月日からわかるので登記されていないことの証明書の内容からは除かれています。
登記されていないことの証明書は成年被後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人として登記されていないことを証明します。
登記されていないことの証明書の記載内容は請求時に記載範囲を特定できます。
被補助人でないことの記載まで必要とか任意後見契約の本人であることの登記がないことの記載を請求することもできます。
許認可取得では成年被後見人、被保佐人でないことが証明されているもので足りることが多いです。