前回弁済についての続きです。

第三者による弁済が済んだ場合の問題です。

弁済をした第三者は、債務者に求償できるのが原則です。

第三者が債務者に求償権を行使する場合に、求償権を確保するための手段として認められているのが、弁済による代位という制度です。

これによって、弁済をした第三者は、債権者に代位して債権だけでなく、担保権があれば担保権も行使できます。

旧法では、正当な利益を有する者が弁済をした場合は法定代位、正当な利益を有しない者の弁済の場合は任意代位できるとされていました。

それぞれについて代位の要件として債権者の承諾が必要かや対抗要件の具備が必要かの違いがありました。

これが、正当な利益を有するかどうかに関わらず、弁済をして求償する場合には代位が認められることになりました。(民法第499条)

債権者の承諾は必要ないことになりました。

対抗要件については旧法同様、正当な利益を有しない者の弁済の場合には、代位にあたり対抗要件(民法第467条)を具備する必要はあります。(民法第500条)

求償できるのは、求償権の額と原債権の額どちらか低い額と考えればよいです。

求償額の方が大きくても、原債権を超えて債権を行使することができませんし、原債権の額の方が大きくても、求償権を確保するための制度なので、求償額までしか行使できません。

債権者に代位する場合、求償債権を行使しているのか、現債権を行使しているのかという問題がありますが、どちらか一方のみを認める見解、両者を併存的に認める見解など諸説ありますが、対抗要件が必要とされることや求償の範囲についての規定との整合性を考えると、併存説も含め、少なくとも原債権を行使していることを認める方が整合的だと思います。

今日はこの辺で。