以前日本版司法取引の第1号となる事件についての記事を書きました。

その事件の判決が出ました。

事件の概要を改めてご紹介するとタイの発電所建設に際し三菱日立パワーシステムズ(MHPS)株式会社の社員が現地の公務員に現金を渡していたという事件です。

日本の公務員なら贈収賄の罪が適用されるのですが、相手が外国公務員なので不正競争防止法上の外国公務員贈賄罪とか外国公務員不正利益供与罪と呼ばれる罪に問われた事件でした。

ちなみに日本版司法取引は会社が捜査に協力する代わりに企業としての起訴は免れるというものです。

判決の内容ですが今回第1号となるこの事件では三菱日立パワーシステムズ(MHPS)株式会社の元執行役員と元部長に対して執行猶予付きの有罪判決が出されました。

この事件に限らずこの後も日産での事件など司法取引が行われた事件が起きています。

日産での事件のように社会的な影響が大きい事件での立件を控えていたため企業側を守るために司法取引の制度が導入を急いだのではないかと勘ぐってしまいます。

特に日産の事件ではだいぶ前から内偵捜査が進んでいたため、カルロスゴーンを逮捕するとなれば日産の責任は免れませんから、なんとか会社の責任を回避したいというのは企業側も考えるでしょうし、政府としても外国人役員の責任は大きいのであれば社会的な影響を考慮して会社は守りたいと考えても不思議はないのではないでしょうか。

そのような意図が存在したかどうかは不明ですが、いずれにしても会社のためにと違法な行為を行ってみても会社は守るどころかむしろ積極的に従業員を売って生き残ろうとする制度ができてしまったということになります。

真相の解明に役立つと言えば聞こえがいいですが、今の企業活動の現状を表している制度とも言えます。