福岡地方裁判所久留米支部で道路交通法違反で実刑判決を受けるべきであった被告人に執行猶予付きの判決を言い渡してしまったため、福岡地方検察庁久留米支部が福岡高等裁判所に控訴したことがわかりました。

そこで今日は刑罰法規のことについて書きます。

まず刑がどのように決まるかご説明しますと、

刑罰法規に規定されている法定刑の中から刑罰の種類や期間が選択され、これに刑を加重たり減軽したりする加減例が適用されます。

こうして決められた刑を処断刑といいます。

この処断刑の幅の中から、その犯罪の実情に沿った刑が決められ刑事裁判で宣告されます。

この最終的に宣告される刑を宣告刑といいます。

法定刑→処断刑→宣告刑とどんどん具体的になっていきます。

このような過程を経て刑罰法規に定められた刑が決まっていきます。

こうして決められた刑も一定の要件の下に、執行が猶予されることがあります。

これが執行猶予です。

刑法では前に禁錮以上の刑を受けている場合、刑の執行終了から5年が経過していなければ執行猶予は付けられません。

この事件の被告人は以前、別の事件で禁錮以上の刑を受け、5年経っていなかったのです。

今回はこの執行猶予を付すための要件を満たしてしていないのに、誤って執行猶予を付してしまったわけです。

この判決を正すために検察側が控訴したのです。

以前も書きましたが何故か最近この手の判決の誤りが増えているように思います。

しかも今回は検察官が誤りを指摘していたようなのですが...。

裁判官も人間ですから間違っても不思議はありません。

しかし、こう続くと表現はあまり良くないかもしれませんが、裁判所の再犯と言われても仕方ない気がしてきます。