以前は、箱物行政というと無駄な建築物の建築や、そのような不要なものを利権がらみで建てるという悪しき行政活動の象徴のように言われる時期もありました。

しかし、このところの異常気象で雲行きは変化してきています。

ダムがたくさんあるので、ダムなど不要と言われていたところで、水害が起こったりするからです。

既存のダムだけでは、雨水を上手くコントロールできず、新しいダムが必要になる地域もあると思います。

それだけではなく、既存のダムの運用もあまり上手く行っていないところもあったのです。

大雨が予想される場合、事前放流されることがあります。

ところがダムは、同じ川につながっていても、管理者が異なったり、発電、農業、水道水など水利権を有するものが異なったりして、放水するかどうかの決断で足並みが揃わないことがあったのです。

誤って複数のダムが同時に放水しては、川が増水して、その後の降水に耐えられず、危険な場合も出てきます。

これは事前放水の場合だけでなく、緊急放水(特例操作)の場合でも生じえます。

そのため、このような縦割行政の弊害による水害を防ぐために、各関係機関で協力体制の構築が試みられています。

国民の側からすれば、国が関与していれば上手くコントロールされるのだろうと思うのも無理はなく、管理している所轄の官庁が異なるので、調整ができていなかったと聞いて、初めて問題に気づく人もいらっしゃるのではないかと思います。

このところの異常気象によるゲリラ豪雨や台風などの被害により、ダムの貯水量や放水による河川の水位をコントロールする必要性が改めて見直され、縦割り行政を見直す動きが出てきているのです。