多数当事者の債権債務関係の続きです。

このブログでは、最近、民法の改正内容について書いているのですが、今日書くところは改正内容の影響は受けていますが、改正前と変わらない部分も存在します。

ただし、改正されている部分もありますし、他の改正箇所と無関係ではありません。

保証に関する改正部分を理解する前提となる部分と思ってお読みください。

「連帯」の付かないシンプルな保証についての解説から始めます。

保証契約は、債権者と保証人の間で締結されます。

債務者は保証契約の当事者とはなりません。

安易に保証が行われないように書面で行うことが要求されます。(民法第446条第2項)

保証では、主たる債務が存在しなければ保証債務も存在しないし、保証債務の内容は、主たる債務の内容よりも重くすることはできず、主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅するという付従性という性質が認められています。

保証人は、主たる債務に対し付従性は有するけれども、主たる債務から独立した債務(保証債務)を負担しています。

この付従性により、原則として主体債務者に生じた事由は保証人に及び、保証人に生じた事由は主たる債務者に及ばないことになります

この付従性によって導かれる性質は、保証関係では優先的に適用されるルールと考えて良いです。

具体的には、債権者が履行の請求をして、消滅時効の完成が猶予された場合、連帯債務では債務者ごとに個別に判断されました。

ところが保証では、主たる債務者に履行の請求をして、消滅時効の完成が猶予されれば、保証人の債務の消滅時効の完成も猶予されます。

請求自体に絶対的効力を認めたと言うよりも、主たる債務者に生じた事由だから、保証人にも効果が及んでいるのです。

原則としてと書いたのは、消滅時効が完成した場合、今言った理屈からすれば、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、保証人も放棄したことになり、時効を援用できなくなりそうですが、主たる債務者が時効の放棄をしても、保証人は消滅時効を援用できます。

この場合は独立の債務を負担しているということが重視され、主たる債務者が一方的に保証人の利益を奪うことはできないと考えているのです。

一旦時効が完成したら、附従性から導かれるルールよりも、時効制度での相対性の方が、顔を前に出してくると考えても良いです。

原則1つ、例外1つなら、どちらが原則でも良さそうに見えるかもしれませんので、ダメ押しをしておきます。

保証人が、債務を承認して消滅時効が更新された場合、主たる債務者の債務の消滅時効は更新されません。

更に、保証人が先に時効利益を放棄して債務を承認した後に、主たる債務者が消滅時効を援用した場合に、保証人は付従性により、改めて保証債務の消滅を主張できるかが問題になったことがあり、判例はこれを認めています。

やはり、保証では原則として主たる債務者に生じた事由は保証人に及ぶけれども、保証人に生じた事由は主たる債務者には及ばないのです。

最後に求償関係について触れたいのですが、この部分は改正が入ったことは勿論ですが、真面目に勉強する人が、条文を見失い、混乱しやすい部分なので回を改めます。