以前、このブログの記事「郵便局の古い定額貯金はありませんか」で書いたように郵政が民営化される前の古い郵便貯金のうちの一部の貯金債権が消滅しています。

旧郵便貯金法により満期から20年で権利が消滅するからなのですが、貯金の中には権利者が認知症などによりそのままになっていたものもあるため、返金の請求がなされる場合もあります。

2021年だけでも約475億円の貯金が消滅し、そのうち返金が認められたのは約2億円です。

2011年からの運用では「真にやむを得ない理由」があれば返金するという運用がなされていますが、内部の判断基準は明らかではありません。

そのため、朝日新聞が郵政管理・支援機構(独立行政法人 郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構)に決裁文書の開示を請求しました。

先に開示された決裁文書は大部分が黒塗りでした。

いわゆる「のり弁」です。

同機構は、返金の承認理由の傾向を明かすと、利用者が悪用し、不承認なはずの申請が承認され機構に損害が出るおそれがあると説明したようです。

民営化される前の貯金であるため公的な資料という性質があるのですから、情報開示に正面から応じるべきではないでしょうか。

確かに、悪用される可能性はありますが、そうであるなら、判断基準について、正当な権利者が権利行使できるぐらいの具体性をもった情報は出しても良いのではないかと思います。

貯金者は公平に取り扱われなければなりませんが、判断基準が不透明なままで、誰が公平かどうかを判断するのでしょうか。

朝日新聞が先に入手したゆうちょ銀行(郵政管理・支援機構とは別組織)が独自に作成している資料によれば、審査すべき事情が7項目に分類され、ある程度の考慮要素も分かっています。

郵政管理・支援機構によれば返金を求める貯金者の実態については情報開示しない方針なのだそうです。

民間企業であるゆうちょ銀行から資料の一部が得られているのに、独立行政法人である郵政管理・支援機構が情報を不開示にするのは、不可解としか言いようがありません。