小泉法務大臣が、諮問機関である法制審議会に遺言書のデジタル化について諮問することがわかりました。

諮問とは専門機関に意見ないしは見解を求めることをいいます。

遺言のデジタル化に向けて、本腰を入れて検討しているということになります。

現在の制度では、財産目録については、法改正されたことによりパソコン(PC)での作成が認められています。

これまでは、自筆証書遺言の場合、全てを手書きし、押印しなければなりませんでした。

2018年の改正で、財産目録についてはデジタル技術を用いて作成されることが可能になっているのです。

これまで自筆が要求されていたのは、本人の真意に基づく遺言かどうかを判断しやすくするためです。

言い方を変えると、デジタル技術での作成を認めると、本人の真意に基づくものかどうかの判断が難しくなるという問題が生じます。

旧法では、自筆だけでなく押印を要求することで、真意に基づくかどうかを担保しやすくしていたわけです。

これに代わる制度を作るとすれば本人性や原本との同一性を確認できるようにしなければなりません。

押印の部分については電子署名を活用するといった方法が考えられますが、自筆の部分については代替策を考える必要がありそうです。

現在すべての機種についているわけではありませんが、スマートフォンの指紋認証のような仕組みを使って、遺言作成時に本人確認できるようにするというのも1つの方法です。

マイナンバーでも良さそうですが、家族だとパスワードや暗証番号も知っている可能性があることが難点です。

公証役場の制度と、クラウド機能で連動させれば、公正証書遺言がオンラインで完結するような仕組みも考えられます。

デジタル化が遅れいている司法分野ですが、デジタル庁ができてオンライン化への可能性が広がっています。

どのような制度を作るにしても、セキュリティ対策と不正防止の必要性があることに変わりありません。