湯治などと言われるように、温泉は古くから健康と深い関わりがあります。

泉質により、温泉に含まれる成分が異なり、様々な効能が謳われています。

お肌がツルツルになるなど実感できる変化もあります。

今回九州大学などの研究グループが、大分県の別府温泉で調べた結果、泉質の違いにより、腸内の善玉菌の増加の仕方に影響していることがわかりました。

なぜ別府温泉かというと、別府温泉には10種類に大別される泉質のうち、7種類があるのだそうです。

別府温泉では、様々な泉質の違いが実験できることになります。

これまでも温泉は、血圧や睡眠の改善に役立つことが知られていましたが、健康への詳しい影響はわかっていません。

そこで、腸内細菌の変化をとおして、健康への影響を調べるため、温泉に入浴する前と後で腸内フローラの変化を調べたのです。

その結果、泉質により違いはあるものの、温泉への入浴により善玉菌が増える効果があることがわかりました。

特に、ビフィズス菌の一種が増加していることがわかったのです。

研究がなされていた時期は、新型コロナウィルスの影響もあり、温泉街からお客さんが減っていた時期です。

研究により温泉へお客さんが戻ってくるきっかけになればよいというのも研究動機の1つのようです。

研究には客観性が必要ですので、望むようなデータのみを取るわけにはいきませんが、研究のきっかけや動機に主観的なものがあっても、必ずしも客観性が損なわれるわけではありません。

今回の研究は、温泉を提供する側、温泉を利用する側、研究者、それぞれにとってメリットのある研究になったと思います。

この研究により健康になる人が増えるなら、温泉街での経済効果だけでなく、将来的な医療費負担も軽減できる有意義な研究になったのではないでしょうか。