今日も代理制度の続きです。
代理人が更に代理人を選任する場合、つまり復代理に関する規定について書きます。
復代理についても改正されています。
ちなみに、本人から選ばれたのが代理人で、その代理人から選ばれるのが復代理人です。(バトンタッチを受けた方)
任意代理については復代理人を選任できる場合が制限されています。
これは任意代理の場合、本人は代理人の能力に着目して代理人として選任しているため、勝手に別人を更なる代理人にされては困るからです。
自分で代理行為を行うことが嫌なら代理人を辞任できるということも理由の1つです。
これに対し、法定代理の場合は、代理人の能力に着目して選ばれているわけではないし、辞任もできないので、復代理人を選任することは自由です。
このように元々任意代理の場合に復代理人を選任することは制限されていましたが、選任した場合、復代理人を選任した代理人は復代理人の行為について選任及び監督についてのみ責任を負うという規定がありました。
選任が制限されているので仕方なく選任した場合は、責任を制限しても良いだろうという考え方です。
しかし、自らが代理人なのに他人を更に代理人に選んだ者の責任を軽減する必要はないのではということになり、この規定は削除されました。
これにより改正後、復代理人の行為について問題が生じれば、債務不履行の規定で処理されることになります。
削除されたと書いているけれども、「選任及び監督について」の責任のみ負うという表現が民法第105条にあるではないかという方は、よく読んでいただければわかりますが、こちらは法定代理についての規定です。
先程書いたように法定代理人は自由に復代理人を選任できますが、やむを得ない事由で選んだ場合は責任が軽減されるという規定がそのまま残っています。
次に、復代理人の代理権の範囲についてですが、旧法では代理人と復代理人の代理権の範囲は同じと考えられていましが、改正により異なりうることが条文上明らかにされました。
しかし復代理人の代理権は代理人の代理権に基づくため、代理権の範囲も代理人の代理権の範囲を超えないという点では旧法と変わりありません。
そのため、異なるとすれば、代理人の代理権の範囲よりも、より狭く復代理人の代理権の範囲を設定した場合ということになります。
要は、復代理人の代理権の範囲は、代理人よりも代理権の範囲を広げることはできないが、設定の仕方次第で代理人と異なっても良いということです。
代理人はできるけれども、復代理人にはできないという状態を作りうるということです。
これにより言えることは、代理人の代理権の範囲よりも狭く復代理人の代理権の範囲を設定した場合、代理人の代理権の範囲としては問題ないけれども、復代理人については代理権の範囲を超え、無権代理になるというケースがありうることになります。
代理人は代理権の範囲内でのみ有効に代理行為ができるので、代理権の範囲を超えると、権限がないということになり原則として無効な行為となります。
これを無権代理といいますが、無権代理についてはまた別の機会に書きます。