民事信託が活用され始めています。

信託は信託者が信託財産を受託者に管理させてその利益を受益者に与えるというものです。

元々相続のためにあるわけではありませんが、直接相続させることができない場合にも活用されます。

もちろん相続とは関係のないケースでも活用されてきました。

通常人間の間で活用されますが、ペットなど法人格がないものについても利用されています。

つまり法律上ペットには法人格がありませんので財産を残したくても相続させられません。

そこで信託の手法を使って自分の財産を死後ペットのために使ってもらうという手法が活用され始めているのです。
法律用語ではありませんがペット信託などとも呼ばれています。

人間の場合にも相続順位の低い者へ相続の流れをコントロールする時に信託が活用されることがあります。

このように信託は財産を渡す方(信託者)と管理する者(受託者)、さらにその収益を受取る者(受益者)が出てくるので登場人物(ペットの場合は動物)が多く複雑な印象を与えます。

こういう複雑な分野でこそ法律の専門家の出番ですが、この信託は日本で義務教育を受けた人なら既におなじみの考え方です。

教わった覚えはないぞと言う方もいらっしゃるとは思いますが、憲法の前文にこうあります。

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」

きれいに信託の考え方が現れています。

憲法はマッカーサー草案の影響を受けていますので英米法の影響が色濃く、既に信託の考え方が入り込んでいるのです。

自分で書いたものではない文章を読む時は、書いた人も自分と同じような感覚で書いているように思いがちですが、法律文章は読む人の力が試されるのです。