前回、信託のことを書いたのでもう少し詳しく書いてみます。

現在信託の仕組みは認知症などの問題でも活用されています。

認知症になった時に自分の財産を自分で管理することはできなくなるため、信託の仕組みを利用して財産管理を行うのです。

法律を勉強したことがある方ですと成年後見制度をご存知かと思います。

判断能力が低下した時のために成年後見制度がるんじゃないの?と思う方もいらっしゃると思います。

成年後見制度の問題点は成年被後見人となる方が判断能力を欠いている状態が要件となるため、元気なうちは利用できないのです。

つまり元気なうちは利用できない、元気でなくなった時はなかなか自分で成年被後見人になるという判断ができない。

結局、周り人間の判断か、弊所でもご案内しているリビングウィルなどに書いておくというぐらいしか方法がなくなってきます。

その点信託の場合は、財産管理者を受託者として信託契約を結ぶことができますので、元気なうちでも契約を締結することができます。
効力の発生時期も元気なうちでもよいですし、判断能力が低下した時からでもよいのです。

信託というと信託銀行を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、通常信託銀行は個人の家などは管理しません。
管理する財産の種類や方法が限定されると考えたほうがよいのです。

しかも管理費用は高額です。

個人の家に関わるとしたらリバースモーゲージという金融の仕組みを活用する場合になるでしょう。
リーバースモーゲージについてはまた別の機会にご紹介します。

このように信託銀行に信託を依頼するには財産の種類や管理の方法が限られたり費用が高額になるため、一般家庭にはハードルが高いのです。

そこで、身内に信頼のおける人がいる場合に受託者として財産を管理してもらう家族信託という手法が活用され始めているのです。

決していい事ずくめではなく、結局個人に委託するわけですから本当にその人で大丈夫か、誠実さだけでなく管理能力などの専門性も必要になるため人選は難しいです。
また、税務申告の必要性が出てくる場合が多いなどの手間もかかります。

まずはどうしたいかを明確にして情報を集めることから始めましょう。
集めた情報をもとに専門家に相談してみましょう。

少しは情報をお集めておくと専門家の言っていることに対する判断がある程度つくようになります。
専門家と言われる人でも言いなりになるのは危険もあるため、相談するにも情報収集は欠かせません。

情報収集をしなくてもよい程信頼できる専門家がいるのであれば、その人に財産管理をお願いした方がよいのではないでしょうか?