ノーベル化学賞の受賞者の発表がありました。

リチウムイオン電池についての研究で旭化成名誉フェローの吉野彰さんらが受賞しました。

元々正極にコバルト酸リチウムを使うという同じく受賞者のジョン・グッドイナフ教授らの研究があり負極に炭素材料を使うとより安全な二次電池ができるということを発見し特許を取得したのが吉野さんです。

グッドイナフ教授らは負極の素材を探しましたが上手く見つけることができず、負極にポリアセチレンを使う電池として正極の素材を探した吉野さんはコバルト酸リチウムにたどり着きました。

この負極のポリアセチレンは2000年にノーベル賞を受賞した白川英樹博士の研究した物質です。

日本の素材メーカーに勤める吉野さんが負極側から正極素材をさがせたのがとても幸運だったと言えます。

ただ、このポリアセチレンも高温になると劣化しやすいなどの欠点があったため負極に炭素素材を用いることになったのです。

なんだか運が良かっただけで発見できたような感じで書いてしまいましたが決して運だけではありません。

小型の二次電池の場合車のバッテリーのような水系の電解液を使う電池で作ろうとすると高い電圧がかかると水分が分解されるため高い電圧で用いることができません。

そこで水系の電解液を使わないポリアセチレンで電池の小型化を図ったのです。

ポリアセチレンの代わりを探して分子構造の似ている炭素素材に行き着き小型でだいぶ安全な電池になりましたがそれでも発火事故が起きることがあるのは皆さんご存知のとおりです。

そういえばエジソンが発明した白熱電球のフィラメントにも日本の竹が使われていました。

日本の炭素系の素材が大きな発明や発見につながるのは日本で古くから炭が使われてきたことと関係があるのかもしれません。