日本の司法制度では国会で制定された条文と同じぐらい重要なのが判例です。

通常「判例」とは最高裁判所の判決や決定をいいます。

下級審の判決を「裁判例」と呼んで区別したりします。

制定されている条文だけで紛争が解決すればそれに越したことはありませんが、事前に定めた法律は抽象的であったり固定化されたものなので、新たな紛争が生じると解釈に疑義が生じることがあります。

そのような法律問題を含む争いが最高裁判所まで上告され出された判決や決定が判例となります。

判例のうち最高裁判所判例委員会によって重要な意味があると判断されたものは最高裁判所公式判例集に登載されます。

最高裁判所はこの公式判例集に掲載された判例のうち大法廷判決で12件、原文と異なる誤りが119箇所見つかったことを公表ました。

更に最高裁判所の公式ホームページに掲載されている大法廷判決248箇所についても間違いが見つかったことを公表しました。

最近、下級審でですが、刑事事件の判決で裁判官が量刑の判断を間違うなど違法な判決を出してしまうケースが続いています。

それだけ取り扱い件数が多いのだろうとか、新司法試験制度で合格者が増え、キャリアの浅い裁判官が改正法に基づく判断を間違えたのではないかとか理由らしきものが頭に浮かぶのですが、判例集の誤りとなるとなぜだろうと不思議になります。

今回の誤りの原因の詳細は公表されていませんが、最高裁判所の問題なので、新人の裁判官が関与する可能性は低いですし、判例集ですので職員が取り扱う仕事なのだろうと思います。

ただ判決を書いた裁判官本人が、気が付かなかったのか疑問に思います。

忙しすぎて、自分の書いた判決を判例集で読む暇など無いのかもしれません。