ネットでの誹謗中傷によりトラブルが増えています。

これに対応して侮辱罪の厳罰化が予定されています。

自ら動画に出演するユーチューバーだけでなく、CGのキャラが画面に登場するVチューバーなども出てきて状況は複雑になっています。

ある女性Vチューバーがネットの掲示板で誹謗中傷を受け、侮辱されたとして損害賠償を求める訴えを提起しようとしています。

そのためには誰が書き込んだのか特定しなければなりません。

書き込んだ者を特定するためにインターネットの接続業者(プロバイダ)に、投稿者の氏名などの公表を求める訴えを提起しました。

これに対し接続業者は投稿の対象になったのはVチューバーとしてのキャラクターであって原告の女性ではないという主張をしました。

ところが裁判所はキャラの活動は原告女性の人格を反映しているとして、投稿が女性の心情を害するものだとして情報の開示を命じました。

このように動画の投稿者として何らかのキャラクターが設定されていたり、画面に現れているのがCGだったりすると、動画に対する誹謗中傷が、そもそも本人に対する誹謗中傷なのかという問題が生じます。

この裁判例を、他の事案についても、まだ一般化することはできません。

これまでは当事者の同一性に関する問題といえば、訴状に記載された者が、実在しない場合、訴訟の当事者が誰になるかという問題や実在しているが別人である場合に訴訟の当事者がどちらになるといった問題、訴状に記載されている当事者とは別人が出廷して訴訟行為を行った場合に、その訴訟行為の効果が認められるか、認められるとして誰に帰属するかといった問題が中心でした。

これら以外に、Vチューバーの登場により新たな問題が出てきているのです。

もっとも誰に向けられているかということを問題にするまでもなく、誹謗中傷などの書き込みをしなければよいだけなのですが。