飲食店を営んでいれば、廃棄ロスは深刻な問題です。

今日10月16日は世界食糧デーなのだそうです。

東京の神楽坂に週2、3日だけ夜に営業しているパン屋さんがあります。

他のパン屋さんから売れ残りそうなパンを買いとって再販売しているのです。

もちろんフードロスを減らすためです。

それに加え生活困窮者に働く場を提供するためでもあります。

良いことなら大々的に行った方が良いのではと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、他のお店も含め、あまり大々的に行われることはありません。

海外では大手飲食チェーンがホームレス支援を行っていたりしますが、日本ではあまり聞きません。

宗教的なドネーションについての考え方の違いもありますが、経済的な理由もあります。

経済学上は「機会費用」という考え方を理解する必要があります。

これは、他の選択をしていたら得られたはずの利益を費用として考えるものです。

例えば、120円で売っている原価100円のパンをある人にタダであげたとします。

売れなかったものなのでお店は100円の損失のように見えます。

この人は、次もタダでもらえるなら120円払う必要がないので買わなくなります。

そうするとお店は、売れていたら得られていた20円(初回)+20円(2回目)の利益も失います。

原価の100円は売れ残りなので、タダであげなくても100円の損失は確定しています。

そのため、タダであげるという行為を選択するごとに、100円の損失に加え、20円余計にコストがかかっているということになります。

毎回タダであげるごとにこの額は膨らんでいきます。

これが、フードロスが出ても、なかなかタダで商品をあげずに廃棄してしまう理由です。

それでも、生活困窮者に対する支援や、廃棄ロスを減らすことによる社会貢献などを考え、フードロスを減らす試みや生活支援を行う試みがなされるようになってきているのです。

要は普通に営業しているお店の、営業を圧迫しない程度に行うことが重要だということです。

賞味期限や店舗を借りられる時間の問題もあると思いますが、神楽坂のお店が、週2、3日夜だけ営業している主な理由かおわかりいただけたと思います。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」なのです。