音楽家の坂本龍一さんが3月28日に亡くなりました。

教授の愛称で親しまれたとおり、前衛的な芸術音楽の研究から商業音楽まで幅広く活躍されました。

音楽の才能がない私でも坂本さんの作曲された曲は耳にしたことがあります。

代表作となるような曲を聞くと、娘さんの名前につけた美しい雨のような曲が多かったように思います。

偶然なのか意図したものなのかはわかりません。

晩年は社会活動にも参加し、反原子力の旗手のような存在でもありました。

がんでの闘病をされていましたが、放射線治療も拒んでいました。

放射線治療することにより、もう少し長く生きられたかもしれませんが、別の治療法により天寿を全うされたことは、原子力発電に対する最大の抗議になったと思います。

がんが発見されてからは、余命がそれほど長くないことは覚悟されていたと思うので、自分が死んだあとの事は知らないという考え方もあると思いますが、坂本さんはそのようには考えず、原子力にも反対したし、若い人たちの音楽への啓発にも務めました。

最後に残された言葉やこのような生き方の裏には、芸術は不滅であるという信念があったのではないかと思います。

長いスパンで物を考えられるからこそ、一時的な電力のために長期的な危険や汚染をもたらす恐れのある技術に拒否反応を示されたのだと思います。

電力料金が高騰しているので原子力を積極活用するという、国民にとっての重大な方針転換を安易に決めてしまう政権には、坂本さんの曲を聞きながら、芸術の永さと政策の短さについて改めて考え直してもらいたいと思います。

坂本龍一さんのご冥福をお祈りいたします。