連帯債務と保証についての記事は書いたので今日は連帯保証について書きたいと思います。

まず前回書いたように、保証では弁済期前でも保証人が債務を履行すれば、求償できました。

これは弁済期にない債務については、主たる債務者の期限の利益を害することはできないからだということも書きました。

これについて少し補足すると、弁済期前に弁済しても求償権を取得することはできますが、実際に求償できるのは弁済期後ということになります。(民法第459条の2第3項)

弁済期によって、規定を分ける意味は、これだけではありません。

弁済期にある保証人は、請求を受けた場合、まず主たる債務に請求しろという催告の抗弁権(民法第452条)や主たる債務者に弁済の資力があることを証明して主たる債務者に弁済してもらうようにいう検索の抗弁権(民法第453条)を有します。

保証人の責任は重いので、弁済期が到来した保証人にはこのような権利が認められているのです。

このような権利の性質は、保証人の債務は、主たる債務者の債務に対して二次的なものであることから認められているので、補充性と呼ばれます。

今日書く、連帯保証ではシンプルな保証と異なり、各連帯保証人に催告の抗弁権や検索の抗弁権がありません。

連帯債保証人の場合は補充性がないということになります。

これは連帯債務者の債務の性質は、主たる債務者と同じ一次的なものであるということを意味します。

この辺は改正前と変わりません。

連帯債務者が債務を履行した場合の求償には連帯債務の規定が準用されますが(民法第465条第1項)、連帯債務のところで書いたように、絶対的効力が生じる事由が制限されたこともあって、少ないながら認められる絶対的効力事由も、通常の保証のケースと効果が同じになるものが多いので、あまり規定の意味がなくなっています。

どういうことかというと、連帯債務の規定が準用されるということは、絶対的効力が生じる事由は、更改、相殺、混同に限られることになります。

しかし、更改や相殺で、主たる債務者に効果が及ぶのは通常の保証の場合でも同じですから、準用する意味があまりないのです。

混同についても、債権者としての立場で請求するか、求償者としての立場で請求するかの違いですから、こちらも準用する意味があまりありません。

最後に、求償できる場合についてですが、連帯債務の場合、各債務者は自分の負担部分を超えなくても負担割合に応じて求償できることを以前の記事で書きました。(民法第442条第1項)

連帯保証の場合は、自分の負担部分を超えて弁済した場合に、その部分についてのみ他の連帯保証人に求償できます。(民法465条第1項)

両者で違いが生じるのは、連帯保証の場合は、連帯保証人の債務は一次的なものではあるものの、連帯保証人による弁済を促進するというところまではいかず、求償に関する規定は、弁済した場合に、各保証人の負担を調整するために創設的に規定されたものであるからです。

これで多数当事者間の債権債務関係については、一通り記事を書きましたが、保証については連帯保証以外の共同保証もあり、債務者が複数の場合と保証人が複数の場合の組み合わせによって、更に法律関係が複雑になるので、改正された、されていないに関わらず、複雑化する部分について、次回まとめ回を設けたいと思います。